360°パノラマで広がるのどかで牧歌的な風景を眺めて、正彦はハァ…と浮かないため息を吐いた。不動産業の会社にて、若手の営業マンをしていた。人使いの荒い上司に命じられて、寒村の茅葺き物件の調査に訪れた。会社の営業者で中央高速をすっ飛ばして来た。それでも、時刻は既に午後になっていた。そして、一人寒村を歩いていると、白衣で自転車に乗った村の女医さんが通り過ぎようとしていた。何気なく目線をやった瞬間に違和感に気付いた。何故なら5年前、正彦のもとを突然去った女性だった…。
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